吸音パーテーションは「吸音性能が高そうな製品を選べば正解」というものではありません。対象となる音・区切りたい範囲・座位か立位か・必要な設置幅・レイアウト変更のしやすさ・求める静けさのレベル——この条件が違えば、適した高さも枚数も配置も変わります。
本記事は、オフィスで吸音パーテーションの導入を検討している方が、読み終えたときに「自社に必要な条件」を絞り込めるよう、選定の判断軸だけを整理したガイドです。騒音対策全般は
オフィスの騒音対策完全ガイド
にまとめているので、原因の切り分けから知りたい方は先にそちらをご覧ください。
- 吸音パーテーションを選ぶ前に「何の音を減らしたいか」を決める
- 吸音パーテーション選びで確認したい6つのポイント
- 吸音パーテーションの高さはどう選ぶ?
- 幅・連結数はどう決める?必要な面積の考え方
- 素材・構造は何を確認すればよい?
- 設置場所から選ぶ|オフィスの悩み別おすすめ配置
- 吸音パーテーション選定シート|自社条件を整理する
- 吸音パーテーション選びでよくある失敗
- 自社に合う吸音パーテーションを選ぶ簡易診断
- オフィス向けなら吸音パーテーション「EasyWall」という選択肢
- 製品だけでは解決しにくい場合はパーテーション施工も検討
- 吸音パーテーションの選び方に関するよくある質問
- まとめ|「音・高さ・面積・配置」から吸音パーテーションを選ぼう
吸音パーテーションを選ぶ前に「何の音を減らしたいか」を決める
まず結論
吸音パーテーションが得意なのは響き・ざわつきの緩和と、音の直進をゆるやかに区切ること。一方で「音を確実に遮断する」用途には向きません。対象の音が吸音向きか、遮音・施工が必要かを先に見極めてください。
対象音によって、吸音パーテーションで対応しやすいか、別の手段が必要かが分かれます。
| 対象の音 | 吸音パーテーションの相性 | 補足 |
|---|---|---|
| 話し声・私語 | ◎ 区切り+響き低減に向く | 音源と受け手の間に配置 |
| 電話・Web会議 | ○ 声の広がりを抑える | 機密性が高いなら個室・施工も検討 |
| 反響・ざわつき | ○ 吸音面で緩和 | 吸音材・パネル併用が効くことも |
| OA機器音 | △ 区切りで軽減 | 配置変更・距離とセットで |
| 会議の音漏れ(機密) | × 単体では不十分 | 遮音・固定間仕切り・施工の領域 |
防音・吸音・遮音の違いを詳しく確認したい場合は、第1ピラー(騒音対策完全ガイド)で用語と原因の切り分けを解説しています。本記事では、吸音パーテーションが適切と判断できた前提で「どう選ぶか」に進みます。
吸音パーテーション選びで確認したい6つのポイント
まず結論
選定は「性能スペック探し」ではなく、目的・高さ・幅(面積)・素材・設置安定性・移動性の6点を自社条件に当てはめる作業です。次章以降でこの順に判断していきます。
吸音パーテーションの高さはどう選ぶ?
まず結論
高さは「対象が座位か立位か」「視線をどこまで遮るか」で決めます。高ければ効果が高い、とは限りません。開放感・空調・照明・動線とのバランスで、必要十分な高さを選ぶのが実務的です。
高さ選びの目安は次のとおりです。
- 座って作業する人の声・視線が対象:中程度の高さで区切れることが多い。着席時の目線を越える高さが目安。
- 立ち話・立位の声、しっかり区切りたい:高めを選ぶ。ただし高いほど空調・照明・圧迫感への影響も大きくなる。
- 開放感を残したい:全面を高くせず、必要な範囲だけ高く、周囲は低めにするなど配置で調整。
「高くすれば必ず静かになる」という考え方は避けてください。天井まで塞がない自立式である以上、上部からの回り込みは残ります。高さは遮断のためでなく、必要な範囲を区切るための条件として捉えるのが適切です。
高さの種類ごとの特徴は事務所に設置するパーテーションの高さの種類を解説でも整理しています。なお、吸音パーテーション「EasyWall」は公式通販で高さ1500mmと1800mmの2タイプが確認できます(詳細は後述)。
幅・連結数はどう決める?必要な面積の考え方
まず結論
吸音パーテーションの効果は、製品自体の性能だけでなく、音源と受け手の位置関係や、どの程度の範囲を面で区切れるかにも左右されます。1枚で足りるのか、複数枚を連結するのかを、区切りたい範囲から考えましょう。
面積・連結を考えるときの基本は「音源と受け手を結ぶ線を、面で遮れているか」です。ケース別に整理します。
| ケース | 面積・連結の考え方 | 形状の目安 |
|---|---|---|
| 1席だけ区切りたい | 正面+横の一部を覆えれば十分なことが多い | 1面〜L字(卓上型も候補) |
| 複数席・向かい合わせ | 席の間に連続した面をつくる | 複数枚連結(直線) |
| 通話・集中エリアを囲む | 音源と受け手の位置関係によっては、複数方向を区切る配置も候補になる | コの字(連結) |
| 複合機など機器周辺 | 音源側を囲むように面を配置 | L字〜コの字 |
| エリアの境界を分ける | 境界線に沿って連続した面をつくる | 直線で複数枚連結 |
- 隙間を減らす:パネル間・床との隙間が多いほど音は回り込む。連続させるほど効果は安定。
- 必要な方向を区切る:音源と受け手の位置関係によっては、L字・コの字など複数方向を区切る配置も候補になる。
- 追加できる製品を選ぶ:後から連結を増やせるタイプなら、レイアウト変更に追従しやすい。
素材・構造は何を確認すればよい?
まず結論
素材名だけで性能は判断できません。吸音する面・表面材・重量・扱いやすさ・デザインを、公式仕様で確認できる範囲でチェックし、設置環境に合うかで選びます。
確認しておきたい観点は次のとおりです。
- 吸音する面はどこか:両面か片面か。区切りたい向きに吸音面が来る構成かを確認する。
- 表面材・質感:オフィスの内装トーンに合うか、汚れ・メンテのしやすさはどうか。
- 重量・扱いやすさ:頻繁に動かすなら軽量タイプ、固定運用なら安定性重視、と使い方で選ぶ。
- デザイン・カラー:執務エリアの印象を左右する。ゾーニングの目印として色を活かす考え方もある。
吸音率などの試験値が公開されている場合でも、測定条件によって数値は変わります。カタログ上の数字だけで「静かになる」と断定せず、対象音・配置・面積とあわせて判断してください。素材そのものの違いはローパーテーションにはどんな素材がある?も参考になります。
設置場所から選ぶ|オフィスの悩み別おすすめ配置
まず結論
悩みごとに「どこに、どんな形状で置くか」の方向性が変わり、それが必要な高さ・連結数を決めます。ここでは製品選定に必要な配置条件を押さえます(具体的な設置テクニックは別記事で扱います)。
| 悩み | 配置の考え方 | 高さ・形状の考え方 | 候補タイプ |
|---|---|---|---|
| 隣席の話し声 | 席の間に面をつくる | 着席目線を越える中程度/1面〜L字 | 卓上型/自立型(低〜中) |
| Web会議・電話 | 通話者を囲み声の広がりを抑える | やや高め/L字〜コの字 | 自立型連結/集中ブース |
| 集中席をつくりたい | 周囲の視線・音の直進を遮る | 中〜高め/L字・コの字 | 自立型連結/個室ブース |
| フロアのざわつき | エリア境界に連続した面をつくる | 中〜高め/直線で複数連結 | 自立型(連結)+吸音材 |
| 複合機など機器音 | 音源側を囲む+距離をとる | 中程度/L字〜コの字 | 自立型連結 |
| 来客・打合せスペース | 執務席と視線・会話をゆるやかに分ける | 中〜高め/直線・L字 | 自立型連結 |
※ 効果を最大化する具体的な設置位置・角度・距離の詰め方は、別途「置き方」の記事で詳しく扱います。ここでは選定に必要な範囲にとどめています。会議室の音漏れ自体が課題なら会議室の音漏れ防止策3選も参考にしてください。
吸音パーテーション選定シート|自社条件を整理する
まず結論
次の8項目に自社の状況を当てはめると、必要な吸音パーテーションの条件(卓上か自立か/高さ/連結数/固定か施工か)が見えてきます。各行の当てはまる選択肢に印を付けながら読み進めてください。
| 確認項目 | 選択肢(当てはまるものに ☑) | 選定への影響 |
|---|---|---|
| ① 対象の音 | ☐ 話し声 ☐ 電話・Web会議 ☐ 反響・ざわつき ☐ 機器音 ☐ その他 | 吸音向きか、遮音・施工向きかの起点 |
| ② 対象範囲 | ☐ 1席 ☐ 複数席 ☐ エリア単位 | 卓上型か自立型か、連結数の目安 |
| ③ 主な使用姿勢 | ☐ 座位中心 ☐ 立位も対象 | 必要な高さの目安 |
| ④ 高さの方向性 | ☐ 低め ☐ 中程度 ☐ 高め | H1500/H1800など製品サイズと接続 |
| ⑤ 設置範囲・形状 | ☐ 1面 ☐ L字 ☐ コの字 ☐ 直線で複数連結 | 必要な枚数・連結数 |
| ⑥ 移動・変更 | ☐ 頻繁 ☐ ときどき ☐ ほぼ固定 | 軽量・可動重視か、固定・施工向きか |
| ⑦ 工事の可否 | ☐ 不可 ☐ できれば避けたい ☐ 可能 | 製品対応か施工検討か |
| ⑧ 求める状態 | ☐ 響き・ざわつきを軽減 ☐ 音の広がりを抑える ☐ 高い遮音性が必要 | 吸音で足りるか、遮音・施工が必要か |
- ①話し声・②1席・③座位・④低〜中 → 卓上型/低〜中の自立型
- ②複数席・エリア・⑤直線連結・⑥ときどき動かす → 自立型を複数連結(H1500前後)
- ①Web会議・③立位・⑤L字/コの字・⑧音の広がりを抑える → やや高め(H1800前後)で連結/集中ブース
- ⑥頻繁に変更・⑦工事不可 → 自立式・連結型(EasyWall等が候補)
- ⑧高い遮音性が必要・⑦工事可能 → 固定間仕切り・内装工事の相談
吸音パーテーション選びでよくある失敗
まず結論
失敗のほとんどは「高さ・枚数・配置」を単独で決めてしまうことに起因します。次の点に当てはまっていないか確認してください。
- 高さだけで選ぶ:面積・連結・隙間を無視すると、高くても効果が出にくい。
- 1枚で十分と考える:音源と受け手の間を覆いきれず、回り込みが残る。
- 吸音=完全防音と誤解する:自立式で音を「遮断」はできない。
- 素材名だけで性能を判断する:対象音・配置とセットで考えないと期待とずれる。
- 設置位置を考えない:音源との位置関係が適切でないと、期待した効果を得にくい。
- 動線・レイアウト変更を無視する:固定運用にすると、組織変更で使いにくくなる。
- 高い遮音性が必要なのに自立式だけで解決しようとする:機密性の高い会議などは施工の検討が必要。
「置いたのに効かない」原因の切り分けは、吸音材の例ですが吸音材の効果がないときに確認すべきポイント3つの考え方が応用できます。
自社に合う吸音パーテーションを選ぶ簡易診断
まず結論
上から順に答えていくと、候補タイプが絞れます。条件によって結論は変わります——卓上型で足りる場合も、施工が適切な場合もあります。
-
1何の音を減らしたい?話し声/通話・Web会議/反響・ざわつき/機器音。機密性の高い会議の遮断なら → 施工の検討へ。
-
2区切りたいのは席単位? エリア単位?1席なら卓上型〜小さめの自立型。複数席・エリアなら自立型の連結。
-
3対象は座位? 立位も含む?座位中心なら中程度(H1500前後)。立位も遮りたいなら高め(H1800前後)。
-
4レイアウトはよく変わる?よく変わるなら、動かせて連結を増減できる自立式が有利。
-
5工事はできる? 高い遮音性は必要?工事不可・工事を避けたい → 自立式で対応。高い遮音性が必須 → 施工相談も候補に。
吸音材・吸音パネル
自立型(H1500前後)
自立型(H1800前後)
複数連結型
個室・集中ブース
固定間仕切り/施工相談
オフィス向けなら吸音パーテーション「EasyWall」という選択肢
まず結論
「工事なしで、動かせて、連結して面をつくれる自立型」を探しているなら、EasyWallは有力な候補です。パーテーションラボ(運営:アイピック株式会社)のオリジナル吸音パーテーションで、公式通販から仕様を確認して購入できます。
公式通販で確認できるEasyWallの仕様は次のとおりです。
| タイプ | 自立設置型の吸音パーテーション(工事不要) |
| サイズ | 幅900mm × 高さ1500mm/高さ1800mm の2タイプ |
| 構成 | 2連・3連セット+追加パネル。連結して面を拡張できる |
| カラー | 定番グレーのほか受注生産色(アイボリー・ブルー・グリーン・ピンク)。軽量な「EasyWall Light」はリバーシブル2色 |
EasyWallが向くケース
- 工事をせず、席・エリアの音と視線を同時にゆるやかに区切りたい。
- Web会議・通話の声の広がりを抑えたい。
- 組織変更が多く、連結を増減しながらレイアウトに追従させたい。
EasyWallだけでは向かないケース
会議内容を確実に外へ漏らさない、隣室へ音を通さない、低音を止める——といった高い遮音性が要件の場合は、自立型単体では対応しきれません。次章の施工を検討してください。
製品だけでは解決しにくい場合はパーテーション施工も検討
まず結論
空間の新設・分割、高い遮音性が求められる対策、レイアウト変更を伴う対策は、固定間仕切りやオフィス内装工事の領域です。製品か施工か迷う場合は、選定から施工までまとめて相談すると早く決まります。
次のようなケースは、施工を含む対策が向いています。
- 固定式パーテーションで空間をしっかり分割したい。
- 会議室・応接室・個室を新設したい。
- 会議の機密性など、より高い遮音性が必要。
- 増床・移転でオフィスレイアウトごと見直す。
- 製品か施工かの判断が難しく、選定から相談したい。
パーテーションラボの運営元アイピック株式会社は、国内に自社工場を構えるパーテーション専門メーカーで、年間5,000件、累計120,000件の納入実績があります。製品購入と施工の両面から、現場条件に合わせた提案が可能です。具体的な施工内容・対応エリア・工法・費用・納期は現場により異なるため、まずは状況を共有のうえご相談ください。
吸音パーテーションの選び方に関するよくある質問
Q. 高さは1500mmと1800mm、どちらを選べばよいですか?
A. 座位中心で区切りたいなら1500mm前後、立位の声や視線もしっかり遮りたいなら1800mm前後が目安です。開放感や空調・照明への影響もあわせて判断してください。
Q. 高いほど効果が高いのですか?
A. 必ずしもそうではありません。自立式は天井まで塞がないため、高さより「音源と受け手の間を隙間なく覆えているか」が効果を左右します。面積・連結・配置とセットで考えてください。
Q. 何枚必要ですか?
A. 区切る範囲によります。1席なら1面〜L字、通話・集中エリアを囲むならコの字、エリア境界を分けるなら直線で複数連結、というように「覆いたい面」を先に決めると枚数が定まります。
Q. Web会議の声対策に向いていますか?
A. 声の広がりを抑える用途には向きます。通話者をL字・コの字で囲むと効果的です。機密性が特に高い場合は、集中ブースや施工も選択肢になります。
Q. 完全に聞こえなくできますか?
A. 自立式の吸音パーテーションで音を完全に遮断することはできません。響きや広がりを抑える製品です。高い遮音性が必要な場合は、遮音・施工を検討してください。
Q. 賃貸オフィスでも使えますか?
A. はい。自立式は工事不要で設置でき、原状回復の心配が少ないため、賃貸でも導入しやすい方式です。
Q. EasyWallは動かせますか?
A. EasyWallは自立設置型で、追加パネルで連結を増減できます。レイアウト変更の多いオフィスでも扱いやすい構成です。詳細は商品ページをご確認ください。
Q. 製品を買うべきか、施工を相談すべきか迷います。
A. 工事なしで席・エリアを区切りたいなら製品、空間の新設・分割や高い遮音性が必要なら施工が向きます。判断が難しい場合は、選定から施工まで一括でご相談ください。
まとめ|「音・高さ・面積・配置」から吸音パーテーションを選ぼう
吸音パーテーション選びは、性能値の比較ではなく自社条件の整理です。「何の音を・どの範囲で・座位か立位か・どんな形状で・工事はできるか」を押さえれば、必要な高さ(H1500かH1800か)、枚数(1枚か連結か)、配置、そしてEasyWallで足りるか施工が必要かまで、無理なく判断できます。本記事の選定シートと簡易診断を使って、まずは自社の条件を書き出してみてください。
工事なしで対応
卓上型・吸音材・自立型(EasyWall等)・連結型から、条件に合うタイプを選ぶ。
施工を伴う対策
固定間仕切りの新設、会議室・個室づくり、レイアウト変更を専門メーカーに相談する。
※本記事の製品仕様・実績は、パーテーションラボ通販サイト・サービスサイトおよび運営会社アイピック株式会社の公式情報(確認時点)に基づきます。価格・在庫・仕様は変更される場合があるため、最新情報は各商品ページをご確認ください。施工内容・対応エリア・工法・費用・納期は現場条件により異なります。




















