吸音パーテーションは「置けばどこでも同じ効果が出る」ものではありません。基本は①どこが音源か → ②誰が音を気にしているか → ③その間をどう区切るか → ④どこまでの範囲を対象にするかの順で、置き場所を決めます。
本記事では、この考え方をもとにオフィスの悩み別に「まず試したい配置」を、図解と早見表で整理します。読み終えたときに、自社の状況に合う置き方の当たりを付けられる状態を目指します。
なお、どの対策が必要かは
オフィスの騒音対策完全ガイド、
どの製品を選ぶかは
吸音パーテーションの選び方
で解説しています。本記事は「選んだ製品をどう置くか」に絞ります。
- 吸音パーテーションは「音源」と「受け手」の位置から置き場所を決める
- 置き方を決める前に確認したい5つのポイント
- 吸音パーテーションの基本的な配置パターン
- 隣席の話し声が気になる場合の置き方
- Web会議・電話の声が気になる場合の置き方
- 集中席・作業エリアをつくる場合の置き方
- 複合機・OA機器などの音源を区切る場合の置き方
- フロア全体のざわつきを抑えたい場合の置き方
- 吸音パーテーションの効果を得にくい置き方
- 設置後に確認したいこと|一度で決めず調整する
- 悩み別|吸音パーテーション配置早見表
- 配置チェックシート|置く前に確認する
- レイアウト変更が多いオフィスならEasyWallという選択肢
- 置き方だけでは解決しにくい場合は施工も検討
- 吸音パーテーションの置き方に関するよくある質問
- まとめ|音源と受け手を確認して配置を決めよう
吸音パーテーションは「音源」と「受け手」の位置から置き場所を決める
置き方の基本は、音源と受け手の位置関係を確認し、その間やエリアの境界に面を設けること。目的なく壁際に置くのではなく、「誰の音を、誰に届きにくくしたいか」を先に整理すると、配置を考えやすくなります。
吸音パーテーションは、音の直進をやわらげ、面で反射を抑える製品です。まずは音の流れをシンプルに捉えます。
自立式は天井まで塞がないため、音は上部や横から回り込みます。面が小さかったり、隙間が多いほど回り込みは大きくなるのが一般的な考え方です。だからこそ「どこに、どんな形で置くか」が効いてきます。防音・吸音・遮音の関係は第1ピラーを参照してください。
置き方を決める前に確認したい5つのポイント
配置は①音源 → ②受け手/エリア → ③座位か立位か → ④区切る範囲 → ⑤動線・安全・変更の順で詰めると迷いません。高さ・サイズなど製品側の条件は吸音パーテーションの選び方で確認してください。
吸音パーテーションの基本的な配置パターン
配置は大きく1面/L字/コの字/直線連結/エリア境界の5パターン。どれが優れているかではなく、悩みと範囲に合うかどうかで選びます。
受け手
パーテーション(面)
人
人
音
音
音
人
人
音
音
人
人
※ どのパターンでも「必ず効果が高い」ということはありません。対象の音・面積・隙間・室内条件によって結果は変わります。まずは候補として試し、次章以降の悩み別配置を参考にしてください。
隣席の話し声が気になる場合の置き方
話す人と受け手の間に面をつくるのが基本。席が向かい合う・並ぶなら、まず1面(A)、視線も気になれば L字(B)から試します。
音
人
向かい合う/並ぶデスクの間に面を設ける(1面)。視線も遮るならL字に。
複数席が並ぶ場合は、席の間に直線で連結(D)して連続した面をつくると、音の通り道を減らせます。話し声そのものへの向き合い方(運用・環境づくり)は職場の私語がうるさい!ストレスを軽減する環境の作り方、通話中心の現場はコールセンターで隣の席がうるさい!集中するための対策3選もあわせてご覧ください。本記事では配置に絞っています。
Web会議・電話の声が気になる場合の置き方
通話者から周囲への声の広がりを抑える発想で置きます。声が回りやすいならL字(B)→ コの字(C)と囲む面を増やすのが候補。ただし「コの字なら必ず有効」ではなく、面積・隙間・室内条件で結果は変わります。
通話
通話者を3方向から囲む(コの字)。開放側は動線・出入りに向ける。
会議内容の機密性が高い、会議内容の漏れをできる限り抑えたい、といった要件では、自立式の配置だけでは十分でないことがあります。その場合は個室・集中ブースや、後述の施工も検討してください。Web会議の音対策全般はWeb会議に必須の騒音対策で扱っています。
集中席・作業エリアをつくる場合の置き方
集中席は視線と音の直進をゆるやかに区切るのが目的。1席ならL字、複数席や集中エリアなら直線連結やコの字で囲む範囲を広げます。
- 1席の集中席:正面+横をL字で。周囲からの視線が気になる場合は、視線を区切る配置も検討する。
- 複数席の集中エリア:席の列を直線連結で区切り、エリアの外周をコの字で囲む。
- エリアとして独立させたい:境界に連続した面をつくり、通路と分ける。
吸音パーテーションは開放感を残しつつゆるやかに区切る用途、個室・集中ブースはより囲い込んで独立性を高める用途、という違いがあります。囲い込みたい度合いで選び分けてください。囲い込みが必要なら個室・集中ブースも候補です。
複合機・OA機器などの音源を区切る場合の置き方
まず機器と集中席の距離をとれないかを検討し、そのうえで音源側を面で囲みます。ただし機器は放熱・操作・メンテのスペースが必要で、動線も塞げません。
- 距離を優先:可能なら複合機コーナーを執務席から離す配置に。
- 音源側を囲む:機器と受け手の間にL字〜コの字で面をつくる。
- 機器の条件を守る:放熱、扉やトレイの開閉、補充・メンテ、コピー待ちの人の動線を妨げない。
※ 必要な放熱スペースや離隔距離は機器により異なります。メーカーの指定を確認し、推測で詰めすぎないでください。
フロア全体のざわつきを抑えたい場合の置き方
1枚でフロア全体を静かにしようとしないこと。ゾーニング+エリア境界+吸音材の併用で、面として取り組むのが現実的です。
フロアのざわつきには、性質の違う2つが混ざっています。ここを分けると打ち手が定まります。
- 反響(響き):硬い床・壁・天井の反射が主因。パーテーションの配置だけでなく、吸音材・吸音パネルの併用が効くことがある。
- 特定音源の直進:通話席・会話エリアなど発生源が明確。その周囲をエリア境界(E)で区切る。
ゾーニングやレイアウト全体の見直しもあわせて検討する価値があります。反響と音の伝わり方の基本は第1ピラー(騒音対策完全ガイド)で解説しています。
吸音パーテーションの効果を得にくい置き方
「置いたのに変わらない」と感じるとき、多くは音の経路と配置がかみ合っていないケースです。次に当てはまらないか確認してください。
- 音源・受け手と無関係な位置に置いている:壁際に立てただけで、音の経路上にない。
- 面が小さすぎる:対象に対してパネルの面積が足りない。
- 隙間が多い:パネル間や床との隙間から回り込んでいる。
- 対象音と目的が不一致:反響が主因なのに1面だけ、など狙いがずれている。
- 高い遮音性が必要なのに自立式のみ:機密性の高い会議などは配置では届かない。
- 動線優先で経路を区切れていない:通路を空けることを優先し、肝心の音の経路に面がない。
設置後に確認したいこと|一度で決めず調整する
自立式の利点は後から動かして微調整できること。まず置いて、最も気になる音がどう変わったかを確認し、位置や向きを見直します。
設置後に見ておきたいポイントです。日常的な音環境の改善では、まず体感と運用面から確認できます。改善前後を客観的に比較する必要がある場合は、測定も選択肢になります。
- 最も気になっていた音(会話・通話など)が和らいだか。
- 通路・出入口・避難動線を塞いでいないか。
- 空調の風・照明・スプリンクラー等の設備を妨げていないか。
- 視線・圧迫感が過度になっていないか。
- 今後のレイアウト変更に対応できる置き方か。
※ 日常的な改善では、まず体感と運用のしやすさを確認しながら位置を調整できます。改善前後を客観的に比較したい場合は、騒音レベル等の測定を検討する方法もあります。
悩み別|吸音パーテーション配置早見表
自社に近い悩みの行を見て、「まず確認する位置」と「候補配置」から試してください。あくまで出発点となる配置です。
| 悩み | まず確認する位置 | 候補配置 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 隣席の話し声 | 話す人と受け手の間 | 1面/L字 | 横・上の回り込み |
| Web会議・電話 | 通話者の周囲 | L字/コの字 | 機密性が高いなら個室・施工 |
| 集中席 | 対象席の正面・横 | L字/コの字 | 視線・圧迫感のバランス |
| 複数席 | 席の列の間 | 直線連結 | パネル間の隙間を減らす |
| 複合機・OA機器 | 機器と受け手の間 | L字/コの字+距離 | 放熱・操作・動線を確保 |
| 来客・打合せスペース | 執務席との境界 | 直線連結/エリア境界 | 視線と会話をゆるやかに分ける |
| フロアのざわつき | 音源エリアの境界 | エリア境界+吸音材併用 | 1枚で全体解決を狙わない |
配置チェックシート|置く前に確認する
置く前に次の項目を確認すると、配置のミスマッチや動線・安全上の問題を防げます。製品条件の整理は第1クラスター(選び方)の選定シート、配置条件の整理はこのシート、と役割が分かれます。
最後の「高い遮音性が必要か」に当てはまる場合は、配置だけで解決しようとせず、施工の検討も候補になります。
レイアウト変更が多いオフィスならEasyWallという選択肢
配置を後から変えたいなら、動かせて、連結を増減できる自立式が有利です。EasyWall(運営:アイピック株式会社のオリジナル製品)は工事不要で、追加パネルにより1面→L字→コの字→直線と配置の作り替えがしやすいのが特長です。
- 工事不要の自立式で、置き場所・向きを後から調整できる。
- 2連・3連・追加パネルで連結でき、L字・コの字・直線に組み替えやすい。
- 高さは公式通販でH1500/H1800の2タイプが確認できる(詳しい仕様・サイズ選びは選び方の記事へ)。
※ 席まわりだけを小さく区切るなら卓上型、響き対策なら吸音材、囲い込みたいなら個室ブースが適する場合もあります。EasyWallありきではなく、悩みに合うタイプを選んでください。
置き方だけでは解決しにくい場合は施工も検討
会議の機密性など高い遮音性が求められる場合や、区画そのものを変える対策は、配置の工夫では届きません。固定間仕切りやオフィス内装工事の領域です。
次のようなケースは、施工を含む対策が向いています。
- 会議室の機密性を高めたい/高い遮音性が求められる。
- 固定式パーテーションで区画をつくりたい。
- 会議室・応接室・個室を新設したい。
- オフィス全体のレイアウトを変更する。
パーテーションラボの運営元アイピック株式会社は、国内に自社工場を構える専門メーカーで、年間5,000件、累計120,000件の納入実績があります。製品と施工の両面から現場に合わせた提案が可能です。施工内容・対応エリア・工法・費用・納期は現場条件により異なるため、状況を共有のうえご相談ください。
吸音パーテーションの置き方に関するよくある質問
Q. 音源のすぐ近くに置くべきですか?
A. 音源と受け手を結ぶ線上に面が来ることが基本です。音源側を囲む置き方も有効ですが、機器なら放熱・操作スペースを確保してください。どちらが良いかは状況によります。
Q. L字とコの字はどう使い分けますか?
A. 正面+横で足りるならL字、周囲への広がりをより抑えたいならコの字が候補です。コの字は開放感とのバランスも見て決めてください。「コの字なら必ず効果が高い」わけではありません。
Q. 壁際に置くのは効果がありますか?
A. 音の経路上にない壁際に立てるだけでは、効果は限定的です。まず音源と受け手の位置を確認し、その間かエリア境界に置くことを優先してください。
Q. 隙間はどのくらい気にすべきですか?
A. パネル間の隙間は音の回り込みに関係するため、設置時に確認したいポイントの一つです。ただし、効果は製品性能や高さ、面積、室内条件などにも左右されます。
Q. Web会議の声にはどう置けばよいですか?
A. 通話者を囲むL字〜コの字が候補です。機密性が高い場合は個室・集中ブースや施工も検討してください。
Q. 高さは置き方で選ぶのですか?
A. 高さは対象が座位か立位かで変わりますが、製品としての高さ選びは選び方の記事で解説しています。本記事は配置に絞っています。
Q. 置き方を工夫すれば完全防音できますか?
A. できません。自立式は天井まで塞がないため、配置を工夫しても音の完全な遮断はできません。高い遮音性が必要な場合は、固定間仕切りや施工を検討してください。
まとめ|音源と受け手を確認して配置を決めよう
吸音パーテーションの置き方は、音源と受け手の位置を確認し、その間かエリア境界に面をつくることが基本です。悩みに応じて1面・L字・コの字・直線・エリア境界を使い分け、隙間・動線・安全・レイアウト変更まで見ておけば、大きく外しません。自立式なら後から微調整できるので、まず置いて、いちばん気になる音の変化を見ながら整えてください。高い遮音性が必要な場合は、配置にこだわらず施工も候補になります。
※本記事の製品仕様・実績は、パーテーションラボ通販サイト・サービスサイトおよび運営会社アイピック株式会社の公式情報(確認時点)に基づきます。仕様・価格・在庫は変更される場合があるため、最新情報は各商品ページをご確認ください。配置による効果は、製品・対象音・面積・隙間・室内条件などにより異なります。施工内容・対応エリア・工法・費用・納期は現場条件により異なります。





















